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今月の言葉「弥陀の心に染まる」

 

年中行事やお祭り、イベントなどの中止や自粛が多かったこの一年。

気づけばもう11月で、木々の葉っぱが赤や黄色にきれいに色づく季節になりました。

私たち人間がコロナで右往左往していても季節は変わらず廻ってきます。

自然が私たちに今をしっかりと生きることの大切さを教えてくれているような気がします。

 

「明日やろうはバカ野郎」これはある檀家さんの家の壁に貼られている言葉で、野球部に所属していた息子さんが、日々の練習をしていく中でこの言葉を大切にしていたそうです。

私たち人間には誰しも怠け心というものがあります。

今やっておいた方がいいことや、本当はやらなければいけないことがあるのにも関わらず、「またいつか」、「また時間がある時に」などと理由をつけて、ついつい後回しにしてしまうものです。私自身、普段の生活を振り返ると、忙しいことを理由に、仕事や家族や人間関係など後回しにしていることがあり、檀家さんの家でこの言葉を見るたびに反省しています。

 

お念仏も「またいつか」ではなく、今称えることが何よりも大切なのです。

今お念仏をお称えするということは、どういうことなのか。

それは、私たちの往き先である極楽浄土をしっかりと見定めて、今日一日を大切に精一杯生きるということです。

しかしながら、「誰でも必ず救われる、いつでもどこでもできるお念仏」であるのにも関わらず、それさえも疎かにし、後回しにしてしまうのが私たちではないでしょうか。

 

法然上人は、阿弥陀様への信仰の深まりを秋の深まりと重ねて、次のようなお歌をお詠みになられました。

 

「阿弥陀仏に 染むる心の色に出でば 秋の梢の類ならまし」

お念仏を称えて阿弥陀様への信仰の心を、色で表すならば、まるで秋の紅葉ようなものでしょう

 

紅葉は初めから赤や黄色だったわけではなく、青い葉っぱが季節の移り変わる中、自然の力によってだんだんと色づいていくように、私たちの信仰も、お念仏の生活をしていくうちに阿弥陀様がこの心をきれいな色に染めてくださるのです。

 

今日のお念仏は明日につながり、明日のお念仏はその先の極楽へと続いていくのです。


秋が深まる中、手を合わせる習慣を身につけ、お念仏の秋にしてまいりましょう。

 

今できることをしっかりと  

手洗い、うがい、南無阿弥陀仏